407「頭 −4−」
また行ってはいけないのに行ってしまった ...
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値下がりした白いチワワを
なんとも言えない気持ちで
見つめていると
明るく可愛い店員さんが
なんのためらいも無く
そのチワワを私に抱っこさせた。
「赤ちゃんでお店に来た時
頭が大きかったので
スタッフに《頭ちゃん》と呼ばれて
可愛がられてるんですよ♪ 」
あぁ。。。
ただでさえ気になっていた子、
名前まで聞いて
抱っこまでしてしまったら
余計に情が移ってしまうではないのっ。
「 チワワにしては
体が大きくて
マズル(鼻)が長めなので
チワワちゃん好きの方には
あまり人気が無いみたいで... 」
そうかもしれないが
うちのクロちゃんに色こそ違えど
雰囲気がそっくりなのだ。
だから私には大人気なのだ。
ひとしきり抱っこさせてもらい
「いいご家族と縁があるといいね。」
とあたまちゃんの頭を(ややこしい)
撫でてお店を後にした。
家に戻って
クロちゃんの骨壷の前に座ると
酸素室で悲しく鳴いたクロちゃんの声や
動かなくなってクタクタのクロちゃんの体の
想い出が頭の中でぐるぐる と
渦を巻いた。
今しがたペットショップで
ニタニタして子犬を抱いていた自分が
本当に薄情で嫌な自分に思えた。